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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


Jun



朝食のあと、医師のフミヨさんに飲まされた薬のせいか、いつのまにか、また眠っていたようだ。

ふっと気がついて、ゆるゆると目を開ける。


「…………」


中途半端に浅く眠ると、殊更にぼんやりするものだ。

自分の部屋でもなく、しばらく泊まっていたアパートメントの天井でもないそれに、一瞬自分のいる場所が分からなくて混乱した。


……ええと……



しばらくして、腑に落ちる。


ああ……そうか。ニノ国の城だ。



事故にあった現実を鮮明に思い出す。

黙って出国したあげく、方々に迷惑をかけるはめになるなんて。

これ、国同士の問題になってなきゃいいけれどなぁ……。
場合によっちや、親父に殺されそうだよなぁ……


昨日の今日だからか、少し身じろぐだけでも身体はまだ痛む。

左手で、目を擦った。

サトコ様の手前、大丈夫とは言っているが、荷台に接触した右腕は、いまだ痺れていて感覚がない。
フミヨさんの話だと、骨は大丈夫とのことだったが、強打したせいで腫れ上がっているらしい。

石畳に撥ね飛ばされた勢いで、足首も捻っていて、トイレに行くのも一苦労だった。


「……よく寝てたな」


傍らから声をかけられて、目を向ける。
ベッド際に立って優しい笑みを浮かべているのは、幼馴染み。


いや、おまえよりサトコ様の方が断然いいんだけど……。


「何時?」

「もう昼過ぎだよ。飯食う?」

「……いらねぇ……」


呟いたら、ショウは怖い顔になった。


「聞き方間違えた。食え」


言って、小さく切られたキッシュのようなものがのってる皿をつきだしてきた。

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