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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


こいつマジかよ……


早く早く、と急かすフォークからは今にもこぼれ落ちそうなキッシュ。

戸惑う俺とは対照的に、ショウ自体は真剣そのもので、恥ずかしいとか、なんだか照れるとか、そういう感情は一切ないようだ。


「…………」


ならば、意識してしまう俺の方がおかしいのだろうな。
そもそも、ただの幼馴染みに、食い物を食べさせてもらうというだけのことなのだから。


これが姫なら一も二もなく口を開けてるんだがなぁ……。


俺が、ちょっとだけ口を開けたら、ショウがぐいっと遠慮もなくフォークをつっこんできた。


「!」


えずくだろ!



「……うまい?」

「……おう」


もぐもぐしながら頷くと、ショウは、だろ?と言って、またフォークでキッシュの山を集め始めた。


俺、これ全部こいつから食わされるの?


複雑な思いでいると、ショウが、


「あのさ、ミヤが見つかったよ」


と、ぽつんと言った。

一瞬何を言われてるか分からなくて、聞き流すところだったけれど。


「……え?」


なんだか重要なことを言われた、と気がつき、聞き返すと、ショウが、寂しそうな顔で俺を見た。


「不思議だよ。姫が幸せならそれでいいって自分で納得してここまで来たのに、いざとなるとすごく寂しいんだ」

「……」

「とんだ偽善者だよね……」


返事をしかけて口を開いたら、またフォークをつっこまれた。

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