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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


キッシュを咀嚼しながら、ショウの説明をきく。


カエラ様とのお茶会から帰られたサトコ様の話では、ミヤはどうやらこのニの国の王族であったことが判明したらしく。
ちょっと前から城で暮らしていたという。

どおりで街を捜してもいないわけだ。

カエラ様とミヤは、いとこにあたるんだとか。
茶会にも同席してたというから驚きだ。



「……知らない間にすげー展開になってんだな……あいつが王子かよ?」

「うん……」



へぇ……と、感嘆な思いで息を吐き出すと、ショウも複雑そうに笑った。
俺は、ショウの表情を見つめる。


素直なやつだからな。
想いが全部顔に出てやがる。


でも……まぁ、分かる。
お目付け役であるミヤがいないこの旅は、俺らにとっちゃ夢のような時間だったもんな。


「そっか……じゃあ俺らは用済みってわけだな」


何気なく呟いたら、ショウが首をふった。


「……そんな言い方するなよ」

「だってそうだろ。今日この瞬間から、サトコ様の目にはもうあいつしか見えない」


このまま俺らが消えても分からないんじゃねーの?

ちょっとなげやりな気持ちで言うと、ショウはサトコ様を思い出すような目で、意外な言葉を口にした。


「……でもさ、あんまり嬉しそうじゃなかったよ?」

「……は?……な、わけねーだろ」

「ほんとほんと。もっと興奮してるかと思ったけど、すごい冷静だった」


『……ミヤがいました』


少し泣きそうな顔で、サトコ様はぽつりと報告したという。

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