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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


「なぁ……喉乾いて死ぬ」

「……大袈裟だな(笑)」


顔をしかめながらゆっくり体をおこすジュンを気遣いながら、傍らの水差しから注いだグラスを手渡す。
サンキュ、と受け取ったジュンは、喉を鳴らしてイッキに飲みほした。

そうして、ふぅ……と、ため息をついて、俺を見上げる。

何か言いたげなその目に、ん?と促すと、ジュンは、少し考えるようにして口を開いた。



「カエラ様ってのはさ……サトコ様と年が近いのか?」

「……んー……聞いてないけど、リョウ様の妹って言ってたからそんなもんじゃないか?」

「気があってる感じかな?」

「姫は分からないけど。カエラ様は気に入っておられるみたいだよ」


ジュンの手から空のグラスを受けとって、俺も飲もうと、水を注いだ。

ジュンは、そんな俺を見つめながら、そうか……と言って、また、何かを考えるような表情になった。


何を……言いたいのだろう。


しばらくおりる沈黙。


だけど、俺には、この幼馴染みが何を考えているのか、なんとなく予想がついた。
そしてそれは、自分の想いとおそらく同じだ。



「なぁ……」

「あのさ……」


沈黙を破るタイミングが、見事にハモって思わず吹き出した。


「いーよ。なんだよ」


くつくつ笑ってお先にどーぞ、と促すと、ジュンは、ちょっと笑ってから……真面目な顔になった。


「……俺……明日にでも帰るわ」

「…………」



やはりな。



「ミヤが見つかったのなら、旅は終わりだ。俺がいるせいで、姫から罪悪感が消えないなら……去りたい」


「……」


お人好しなやつだ、と思った。
好きな姫のためにそこまでするのか。
大体、一応重傷なんだぞ……おまえ。

俺は、静かに問う。


「……いいのか。言い方は悪いが、恩を売れるチャンスではあるんだぞ」

「……無理だろ。恩は売れても心は手には入らない」

「言い切れるか」

「……悔しいけどな」

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