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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


「実は俺もさ……帰ろうと思ってた」


ぽつりと俺が言うと、ジュンの目に驚きの色が混じる。

ミヤが見つかった、と分かってから、いろんなことを考えた結果だった。


「……そろそろ帰らないと、親父がキレそうだな、と思って」

「ああ……まあな」


おどけたように言うと、ジュンも俺の堅物な親父の顔を思い出したようで、苦笑いした。

ほんとは親父だけが理由じゃない。
ミヤのもとに飛び込む姫を見る寂しさに、耐えれる自信がないからだ。

それを口にしようかどうしようか迷って……黙った。

でも言葉にしなくても、この幼馴染みは分かってくれているような気がした。


「二人とも一度に帰ったら姫が寂しがるかな」


呟いたら、ジュンが首を振った。


「……ミヤがいるさ」


自爆のような会話を交わす。


だよな。
ミヤがいるなら、姫はもう心配ないだろう。

だけど……


ふと気がつく。


「……でも、ジュンがここを出ると、サトコ様が城にいる理由がなくなるんじゃないか?おまえが治るまで、俺らはここに滞在って話だろ?」


すると、ジュンは想定内だというように、口を開いた。


「いや……だからカエラ様にお願いしようかと思ってさ。姫を気に入ってくれてんなら、もう少しくらい単独で滞在できんだろ。城なら防犯の面も心配ない。俺たちは、帰国の要請がきてるから仕方なくとでもいえばいい」


「そうか……そうだな」


「あと……姫には黙って去りたいけどいいか?」


そういうジュンの気持ちが痛いほど分かる。
サトコ様のことだ。
自分も帰るというだろう。


「ああ……いいよ。なら、マリウスあたりと相談だな」


フウマにも連絡しなくちゃな……、と俺は立ち上がる。


「おまえはとりあえず寝ておけ。少しでも回復するように。馬車の揺れは想像以上に怪我にこたえるぞ」

「……サンキュ」


腕を添えて、小さく頷くジュンをそっと横たえた。

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