
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
Satoko
思いの外、気があったカエラに引っ張り回された1日だった。
俺はベッドの上で、歩き回った疲れと、気疲れとでくたくたな体を横たえて、ふぅ……とため息をつく。
明るくていい子だとは思うが、元気すぎて、少々くたびれる。
しんとした空気に、カサカサと俺のたてる寝返りの音だけが響いた。
窓の外でさわさわと揺れる木々が、黒いシルエットとなって、月明かりに照らされた室内を躍る。
同じ城にはミヤが。
隣の部屋には、ショウとジュンがいるのに、なんだかひとりぼっちになった気分で、なんともいえない。
……俺は、肌掛けを頭までひきあげ、コロンともう一度寝返りをうち、目を閉じた。
『サトってほんとかわいいね』
自己紹介で、同じ年だとわかって、カエラ様は、自分のことをカエラと呼んで、と言ってきた。
俺はいつのまにやら、彼女にはサトと呼ばれてる。
ミヤにしか呼ばれたことのない呼び名は、ドキリとするよな……。
『失礼します』
『あ。きたきた。おそーい!』
午前中、カエラの部屋で開かれたお茶の席では、途中からミヤが入ってきて驚いた。
『この子ねー私のいとこ……ってあれ?カズって大の国から来たんじゃなかった??』
『はい。サトコ様に仕えてました』
ふわりと笑ったミヤは、俺に向き直り、長い期間おやすみいただいてすみません、と頭を下げた。
当たり障りのない対応。
……俺は、また泣きたくなり、うつむいて、いいえ、と言うしかなかった。
なんなんだよ。
せっかく会えたのに、どうしてこんな立ち位置なの。
さっきのミヤの体温を思いだし、自分の体をぎゅっと抱き締めた。
そんなにフランクな態度をとっちゃいけないのも分かるけど……。
思いながら、カップに指をかける。
しかし、
『カズさーこの国の王子って判明したんだけどさ。もうこのままこっちに住んでいいよね?』
さらに、カエラが無邪気にケーキを頬張りながらそう言うもんだから、飲みかけたお茶を吹きそうになった。
『え……こちらに?』
震える声をおさえて顔をあげたら、カエラはうん、と頷いた。
『だって、そちらではただの従業員なんでしょ?こっちでは王子だよ?』
『……カエラ、俺は……』
ミヤが困ったように口を挟むのを、呆然ときく。
