
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
ミヤがなにかをいいかけて口をつぐんだ。
俺がじっとミヤをみつめると、ミヤは困ったような顔で微かに首を振った。
それはまるで本意じゃないと訴えられているようで。
『……それは私の一存ではなんとも……。彼は、うちの国ではなくてはならない存在なものですから……』
仕方なく口を挟むと、カエラはどうしてー?と目を丸くした。
『え。王子だよ?王子を働かせるの?』
『カエラ様、おやめください』
ミヤが、今度こそ鋭い声で制した。
カエラはなーんでよー、とぷうと頬をふくらます。
『だって。カズがここに残ることができたら万事解決じゃん?タエさんも結婚できるし。サトの許可があればそれができるでしょ?』
…………え?
『私の許可……?』
思わずたずねると、カエラが、違うの?ときょとんとした。
『カズは、もはやこの国の跡取りになってるから、タエさんが結婚する条件には存在が不可欠なの。大の国をでるには、仕えてたサトの許可があればいーんじゃないの?』
そんな……
そーゆー問題じゃないでしょ?
これじゃまるで、俺が、ミヤを縛ってるみたいじゃん。
黙りこくった俺の様子になにかを感じ取ったのか。
……まあ、考えておいてね、と、話を切り上げたカエラは、このケーキがどうだとか、コーヒーがどうだ、とか別の話を始めた。
……けど、それからの俺は、半分以上、上の空だった。
はぁ……と、またため息をついた。
「いて……」
この国の枕は、俺の枕よりかたいから、首が痛い。
枕から頭をおろし、俺はベッドの中で丸くなった。
香りも肌触りもちがう寝具は、寝心地においては悪すぎて。
体は疲れてるのに、頭は妙に冴えてる。
こういうとき、ミヤは、ちょっとだけアルコールをいれた紅茶を作ってくれていたな。
ミヤ……
記憶のなかで、穏やかに微笑む男。
誰よりも大好きで、大切な男。
やっと会えて嬉しいはずなのに。
いろいろな事情を聞かされ過ぎて、この感情をどう持っていったらよいか、俺は途方に暮れていた。
