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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


ミヤを手放すなんて考えられない。

でも、そうしなければこの国の皇太子にタエは嫁げない。

ミヤの不安定な立場も含めて、俺は、もうどうしたらよいか分からなかった。


何が正解なのか。


会えたら、すぐ一緒に帰ろうと思っていたのに、それができない。
それどころか、ミヤをおいて帰らないといけないかもしれない。


考えても考えても答えは出なくて。
俺は、布団のなかで、小さく丸まって、ほとんど眠れない夜を越した。




ようやくうつらうつらして、目覚めたのは昨日より少し遅い時間。
早くしないと、マリウスが朝食を持ってきてしまう。
俺は、手早く身支度をして、隣の部屋をノックした。

ところが、何度繰り返しても何の反応もない。


……まだ寝てるの?


「そんなわけないよなぁ……」


優しい笑顔で、おはようございますってショウがすぐにでてきてくれるのを予想してたから、俺は戸惑う。


それでも何回かおとなしくノックし続けたけど。

ついに業を煮やした俺は


「入りますよ……?」


小さく呟いて、部屋に入った。

瞬間。
俺は、異変に気づいた。


……誰の気配もない。

ジュンが寝ていたベッドは、もぬけの殻で、かわりに寝具が綺麗に畳まれている。

俺は急にドキドキしてきた。


「ジュン……?ショウ?」


掠れた声で二人の名を呼ぶ。

この状況下で導き出される答えなんか一つなのに、俺はそれを認めるのが怖くて、部屋のあちこちを見て回った。

でも、確認すればするほど、絶望しかなくて。

昨日、少し乱雑に広げてあったショウの荷物とか。ジュンが飲んだのであろう、テーブルにあったコップと水差しとか。

何もかもが綺麗になくなっているか、整頓されているかしていて、今現在、この部屋に人が滞在している空気はまるでなかった。


どういう……こと……?


「……サトコ様」

突然後ろから声をかけられ飛び上がる。
振り返れば、マリウスが扉近くに佇んでいた。

「申し訳ありません。何度かノックしたのですがお気づきになられなかったようなので……」

お声がけはしたのですが……と、マリウスが眉をさげた。


いーよ、別にそんなこと。それより……



「ねぇ……ここの二人は?」


たずねると、マリウスはジャケットの内ポケットから一枚の封書を出した。

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