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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


《突然先に帰国することをお許しください。

我々は、ミヤを探しに行く姫の警護のために、こ
の旅に同行しました。

今回、彼が見つかったということで、我々の役目は終わった、と考えます。

本来ならば、ご挨拶してから去るべきでしたが、あなたに恋心を抱いてる我々には、この旅は、あまりにも楽しく幸せな時間であったため、お顔を見てしまうと、別れが辛くなると感じました。

同時に、お優しい姫のことですから、怪我をしているジュンを気遣い、一緒に帰ることを希望しかねないと思い、勝手ながら、こういう形で先に帰ることにいたしました。

今後は、ミヤと相談して、お二人のタイミングで大の国へお帰りください。

また遊びにいかせていただきます。
美味しいお茶と姫の笑顔を楽しみにしています。

Sho Jun 》



几帳面な美しい文字は、ショウのものだろう。
ジュンは利き腕が使えないから、きっとこの少し歪んだ署名を左手で書いたのだろうな。


目を通し、じっと黙りこくる俺に、マリウスが静かに口を開いた。


「……お二人……特にジュン様は、怪我をしてるご自分が、姫の負担になってやしないか、と気にしておられました」

「…………」

「サトコ様におかれましては、このまま、気がすむまで好きなだけ滞在なさって結構です。カエラ様には、お二人より報告ずみです」

「…………」


そんなの……


「……カズ様と帰国されるのを御希望ですか?」

「…………」

「サトコ様」


……うるせーな……


俺はうつむいて、足先をじっと見つめた。


ミヤに会えて嬉しかったのはほんと。

でも、あいつが背負うものがでかすぎて、正直俺はどうしたらよいのかわからない。
手に手をとって帰りましょ、なんて単純な問題じゃないからだ。

だから……今朝は朝食を食べながら、あいつら二人に、事情を聞いてもらう予定だった。


けど、それがそもそも間違いなんだよな。
俺はあいつらに甘えてるだけだ。

俺への気持ちを利用して、優しくしてもらいたいんだ。

だから……一人になってこんなに不安なんだ……。


涙が出そうになって困った。
こんなお門違いな涙なんか、マリウスに見せるわけにいかない。

俺はうつむいて、ひたすら黙ってた。

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