
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
「タエっ!!」
案内された部屋は、城の上階にある妃クラスの広い部屋だった。
俺が、ノックの返事を待たずに、部屋に飛び込むと、窓辺に立って外を見ている女性が、驚いたように振り返った。
その優しい瞳が、驚きで見開かれる。
「サトコ様?!」
「タエ……タエ!!」
俺が飛び付くと、タエは、包み込むような笑顔で俺を抱き締めた。
幼い頃から、ずっと俺のそばにいた。
ミヤとセットで、たくさん怒られたくさん褒められ、愛をもらった。
俺にとっては第二の母上とかわらないんだ。
懐かしいタエの香りをかぎながら、俺は滲む涙をこらえる。
「驚きました………何故ここが?」
優しく髪を撫でられて、俺は、ますます胸がいっぱいになった。
顔をあげると、静かに穏やかに微笑んでいるタエ。
その表情からは、監禁とか、そういう種類の悲しみはみえない。
良かった……元気そうで……
「……話せば長くなるよぉ……」
俺が、安堵で膝がくずれてぺたりと床に座り込むと、タエは、あらあら、と笑って自分も座り込んだ。
そんな俺らをタクヤ様は少し離れた場所で、優しく見守っていた。
三人で、部屋の中央にあるソファセットに移動し、これまでの経緯を説明した。
ショウとジュンも来ていたことを話すと、タエは目を丸くして、そんなに話が大きくなっていたとは……と、申し訳なさそうにうつむいた。
タエの話は、ほぼミヤに聞いたとおり。
タクヤ様が時々横からつけたしながら、今は、重鎮たちの様子を見ている段階だ、ということを教えてくださった。
結婚は……あきらめてないんだな……
話を聞きながら、俺はタエの印象のかわりようにひそかに驚いていた。
俺の母上のそばにいたときより、断然綺麗になってる。
着ているものはもちろんなんだけど、雰囲気が……全体的に艶っぽくなってるというか。
愛する人のそばにいるだけで、こんなにも人の印象ってかわるんだ、と思った。
俺の視線に、タエが気づき、どうしましたか?という目で俺をみる。
俺が、
「ますます綺麗になったね、タエ」
と言うと、タエは、
「相変わらずお上手ですね」
と、恥ずかしそうにはにかんだ。
