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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


部屋に戻った俺は、とりあえず国王陛下にどうやってお会いできるか考えた。


「やっぱり……カエラかな」


繋ぎをつくってもらうなら、彼女にお願いするのが一番手っ取り早い気がした。
マリウスは動かないだろうし。

いや、むしろマリウスに聞いたら、邪魔される可能性もある。


見つからないようにしなくっちゃ……


俺は、マリウスにも、もちろん城の他の人間にも、誰にも見つからないように細心の注意をはらいながら、記憶をたどって、カエラの部屋にむかい、どうにかたどり着いた。

扉をそっとノックしようとして、その扉が少し開いていることに気づく。

カエラと誰か他にいるみたいだ。
少し耳を寄せたら、中の話し声が丸聞こえだ。

そしてその声は……


ミヤだ。


嬉しくなって、そのまま入っていこうとしたけれど、二人の話題が俺であることに気づき、俺は思わず動きをとめた。


驚いたような様子のミヤと、淡々としたカエラ。



「サトコ様が……?」

「そ。タクヤおじ様と一緒にタエさんに会いに行ったわ」

「なぜ?」

「よくは知らない。でも、サトはタエさんを結婚させたいみたいよ」

「……」

「なぁにー?複雑な顔して」

「母上が結婚したら……俺はここに残らねばならなくなることをあの人はご存知なのか?」

「いーじゃん」

「……よくない」

「え、でもさー何度も言うけどさ。あんた王子なのよ?なんで、ただの召し使いに戻ろうとするの?わけわかんない」

「いいんです」

「よくないわよ。この国のことも考えなよ。カズっていう跡取りがいない状態のタエさんが、結婚を許してもらえるわけないじゃん」


…………。


完全に出ていきそびれた。
しかも、この話題に割って入るのは気が引ける。

俺は、出直そうと後退りしかけた。

そのとき。


「それとも、あっちに好きな人でもいるの?」


カエラが核心をついた。
俺は自分が聞かれてるわけでもないのに、急激に胸がドキドキした。


だから。


「……いいえ」


ミヤの答えに……今の流れなら当然の答えなのに……なんだかそのままの鼓動にズキンズキンという痛みが被さって……泣きたくなった。


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