
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
三人で歩くと、異様に目立つ。
というか、カエラが目立つ。
「お。姫様、今日は団体さんだね!」
「そーよー。綺麗どころ揃えてるでしょー?」
「姫様ー!いいオレンジが入ってるよー」
「ほんとー?あとでシェフに言っとくー」
まだ、街に入って、数メートルなのに、四方八方からかけられる言葉。
そのどれもこれもが、笑顔と優しさがこめられた声で、どれだけカエラが街の人たちに親しまれているかが分かる。
カエラも人懐こい笑みで、巧に彼らの話を受け止め投げ返し、距離を縮めてくる街の人とコミュニケーションをとっていた。
そんな王族の人を見るのは初めてで、俺が、ぽかんとしてついて歩いてたら、隣を歩いていたミヤが、ふっと微笑んで、こないだもそうでしたよ、と言った。
「こないだって……?」
「薔薇祭りの日。私たちもここに来ていたんです」
「えっ……」
ミヤも祭りにいた……?
「あの日も、カエラはいろんな人から声をかけられていました。そのとき食べたクロワッサンがすごく美味しくて……多分、今日向かってる店もそこですよ」
俺は、ミヤの話を聞きながら、あの日のことを思い出していた。
『…………待って、カエラ!』
あの日、このフレーズが風にのって聞こえて。
俺はミヤだ!と思って泣きながら探し回った。
やっぱり俺が聞いた声は……空耳なんかじゃなくて、ミヤだったんだ……
俺の驚いてる様子に、ミヤは不思議そうな顔をした。
「どうしたんですか」
「ううん……俺……私は、耳がいいなって思っただけ」
「……どういうことですか?」
「そういうこと」
謎かけのように話を切ったら、ミヤが困ったように眉を下げた。
