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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟



活気のある店をあちこちのぞいてるうちに、どこからかパンの焼けるいい匂いがただよってきた。
クロワッサンの店は、ここかな?


「ちょっとまっててねー」


案の定、カエラがふんふんと鼻唄をうたいながら、可愛らしい店構えの扉をあけた。

とたんに、ふわりとパンの香ばしい香りが強くなる。

あ……いい匂い……と思っていたら、カラランと軽快な鈴の音と、こんにちわー!というカエラの声が、閉まる扉とともに消えた。


俺たちは店の前から少し離れたところに立ってカエラを待った。


……久しぶりに二人きり。


俺は、じっとミヤを見つめた。

あか抜けた格好をしてるミヤは、ほんとに新鮮で。
そのへんの王子にひけをとらない品の良さといい……整った顔といい。


……満点じゃん!!


ぼんやりと見つめたまま動かない俺に、ミヤがくすりと笑った。



「……どうしたんですか(笑)」

「え……」

「そんなに熱い目で見られたら……私に穴があきますよ」

「……バーカ」


照れたような顔のミヤに、俺も口を尖らせる。


あんなに毎日毎日一緒にいたのに。
久しぶりすぎて、なんだか照れる。

思えば再会のときは、なにがなんだかで泣きじゃくっただけだったし。
茶会の席では、カエラがいたし。


「そのカッコ似合うね」

「……慣れませんがね」

「……かっこいーよ」

「…………あなたも。あいかわらず、綺麗です」

「ふふ……俺たちなんで褒めあってんの」

「……ですね(笑)」


ひそひそと笑いあえる感覚がくすぐったい。

ミヤの体温が恋しくて、触れたくなったけど、ぎゅっと、握りこぶしをつくって我慢した。


「ねぇ……ミヤ?」

「はい」

「ミヤは……好きな人いるか聞かれたらどう答えてるの」

「……どうしてそんなこと聞くんですか?」

「……いいから」

「……私は……」


……ミヤが、言いかけたタイミングで、


「おまたせー!」


カエラが帰ってきて、俺たちは口をつぐんだ。

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