
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
ここに、その名前。
いや、ミヤの口からその名前がでることに唖然とした。
さっきまでのドキドキした乙女気分が、瞬時に吹き飛んだ。
マサキは確かにいいやつだよ。
俺は好きだよ。
でもお前を狙ってんだよ、あいつは。
俺がそれをとても気にしてるって……知ってるだろ?
連れてくるわけねーだろ?
考えてわかんないのかな?
それとも……会いたかったとでも?
……思わずイラっとした顔に、なってしまっていたのだろう。
「マサキってー?」
のんきに二個めを頬張るカエラに、はっと我に返った。
強ばる顔を叱咤し、なんとか普通にするように心がけ、ミヤに向き直った。
「来るわけないでしょう……?」
「なぜ?少なくとも、あの二人の王子よりは……サトコ様にとって安全でしょう?」
ミヤは、感情を消したような顔で淡々と言う。
安全?
なにいってんの、お前。
「言ったでしょ……あの二人は体をはって私を守ってくれました」
「結果論です。恋愛感情が入った人間と行動を共にすることは危険です」
「……あいつらを悪くいうなよ」
「あなたこそ庇わないで。……なにもされませんでしたか」
瞬間二人とキスしたことが頭をかすめたけど。
「あるわけねーだろ!」
それを振り払うように否定したら、微かな後ろめたさに思ったより強く怒鳴ってしまって。
周りを歩く人がこちらをチラチラ気にし始めたのがわかり、俺は黙った。
「……あんたたちまるで恋人同士の痴話喧嘩みたいよ」
カエラがおかしそうに口を挟む。
ドキリとして顔をあげたら、カエラは二個めのクロワッサンを食べてしまった指を、ペロッと舐めながら、俺らをじっとみつめた。
