
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
どうしよう。大声を出して、助けて、と、アピールしようか。
でも騒ぎになるのは……
自分の立場は、どのように周りに影響してしまうか、焦る頭で考える。
俺も、姫とはいえ、男の端くれだから、普通の女よりそれなりの力はあると自負してたけど。
そもそも掴んでる男との体格差がありすぎで、自分の力が通用しないのが問題なんだ。
大体こいつはなんなのか。
強盗か、誘拐か、痴漢か。
考えてるうちに、突然、ぐっと腕を引かれ、前につんのめった体を触られて、全身が総毛立った。
全力で耐えて、頭を低くして抵抗した。
「やっ……」
やだっ!
言いかけた瞬間に一人の男が頭の中に浮かぶ。
「ミ……」
ミヤ!とその名を叫びそうになった瞬間、つかまれた俺の腕を力強い手のひらが掴んだ。
「……何をしているのですか」
低い声が傍らから聞こえた。
涙目で振りあおげば、厳しい表情のミヤが、俺の傍らに立ち、大柄な男を睨み付けている。
走ったのか、肩が大きく上下してる。
「……この人に危害を加える気なら、このままお前を牢屋にぶちこむために、あらゆる手段をとるぞ?」
……すると、騒ぎにはなりたくないからなのか、俺が一人じゃないことが分かったからなのか。
悪さできないと判断したそいつは、舌打ちして素早く身を翻していった。
曲がり角に消えていく後ろ姿を見て……。
とめてた息を吐き出した。
時間にして数十秒。
それなのに……。
「……大丈夫ですか」
「腰……抜けた」
思わず座り込みそうになった俺を、ミヤが抱き止めた。
