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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟



自分の力で、しゃんとしたいのに、ミヤの温かい腕にすがってないと、立っていられなくて。

どうしても、指先の震えがとまらない。



「……まさかあなたが別行動をとってるなんて思ってなくて。絡まれてる姿を、遠目でみて、心臓が止まるかと思いました」


一人にしてすみません……と謝られて、俺はかぶりを振る。


「別に……ミヤは悪くない……」


カエラも、まさかそんなことになるなんて思わなかっただろうし。

この国はそこまで治安が悪いわけでもないはずだが、たまたま先日の祭りの事故で、変に目立ってしまっていたこと、さらに俺が身につけてるものなどが高価だったこと、など、様々な要因で、狙われたんじゃないかと、冷静にミヤは分析してくれる。


こんなことほんとに起こるんだな……


生まれて初めて身の危険を感じた。
ほんとに怖かった。

いかに、今まで自分があらゆる人に守られていたか、思い知らされた。


道の端でしゃがみこむわけにもいかず、俺はミヤの腕につかまって、小さく深呼吸した。


「……大丈夫ですか」


心配そうなミヤの気遣う声に、うん、と頷く。


ミヤの声を聞いてるだけで、だんだん震えがおさまってきた。


すると、ミヤは、持ってた紙袋から小さな瓶を一本出すと、蓋をあけ俺に手渡してくれた。


「さっき買ったローズウォーターです。飲んでください。落ち着くかも」

「え……だって。これ……」


お土産なんじゃないの?


俺の視線に、ミヤは少し笑った。


「国に帰ったら、あなたと飲もうと思っていたものですから。」

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