
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
ミヤは……帰る気なんだ。俺と一緒に。
強い意思をその表情から感じとる。
もともと俺は、ミヤを連れて帰ろうと思っていたから、それは嬉しいんだけど。
それって……タエが結婚できなくてもいいと思ってるってことかな?
当然、俺はそのへんの話は、今から陛下にかけあうつもりだ。
タエを結婚させて、ミヤは連れて帰る、と。
でも、ミヤはどうなんだろうと思った。
タエを悲しませても、俺の傍に……って思ってるのかな。
……だとしたら……らしくない気もする。
俺が一番であってほしいけれど、周りを悲しい想いにさせるのは、よくない気もする。
……これは、綺麗事なんだろうか。
「ごっめーん。雑貨屋のおばちゃんにつかまっちゃったー」
ふいにやってきた、カエラの元気な声が思考を遮る。
「カエラ……あなたは」
「ミヤ」
すかさず、ミヤが、カエラに苦情を言おうとしたから、俺は鋭く制した。
彼が不満そうに俺を見るから、俺は小さく首を振った。
言わないで。
カエラは悪くない、と。
目で訴える。
ミヤは、少しだけ唇をかみ、目をそらした。
「……なあに?どうかした?」
「ううん。なんでもない。喉が乾いたから、ローズウォーター味見してたの」
「それ、お土産なんでしょう?」
「だって、飲んでいいっていうから」
「駄目じゃん~」
カエラがキャッキャッと笑って、香水の店の扉に手をかけた。
俺はひとまず気持ちを切り替えた。
母上にはどんな香りが似合うかな、と考えた。
