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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟

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城に帰り、ランチをいただき。

来客があるから、というカエラと別れ、俺は一人部屋に戻った。
マリウスは下がらせて、入念に身だしなみを整えた。


とりあえず……陛下に会いにいこう。
自分の想いを伝えて、タエの結婚をお許しいただこう。

鏡の中の自分を見つめると、頬が固まり、少し緊張した顔をしている。

ペチペチと手のひらで顔をたたき、気合いをいれた。

国王本人にアポなしで話をつけにいくなんて、父上が聞いたら卒倒するだろうな。

……でも、決着をつけないといけない場面は一生にそう何度も、あるもんじゃない。
男たるもの、ここはきちっときめてやるんだから。


俺は城の上階が、陛下の部屋だと見当をつけ、大理石の床に足を踏み出した。





城のつくりは大体同じなのだろう。

俺の予想通り。
国で一番偉い人の部屋は、誰かが警護のために部屋の前に立ってんだよな。

そしてそれは、逆にいうと、現在、部屋の中に本人がいる、という証明でもあるんだ。


俺は、自分にできる限界までの愛想を総動員してにっこりと微笑んでみせた。

キラキラの笑顔。

我ながら可愛いだろ?


警護の人間は、それでも少し眉をひそめて怪訝な顔をした。


「……どちらさまですか」

「先日の事故でこちらに滞在させていただいております、大の国の長女サトコと申します」


俺は、まずいきなりの来訪を詫び、カエラやマリウスの名前をあげ、陛下に、いまだ挨拶してないことを心苦しく思っていた事を切々と訴えた。

そして、国からの伝言を伝えたいので、と大嘘をでっちあげ、うるうるした瞳で、陛下への取り次ぎを求めた。


警備の人間は、少しお待ちください、と扉をたたき、中の人間と二言、三言交わしている。

俺は祈るような気持ちで少し離れたところからそれを見守った。

やがて、陛下についてる人間が、不審そうに顔をだし。
立ってるのがか弱い(?)女であることを確かめてから、また中に消え。


さらにしばらく待って、ようやく


「……どうぞ」


と、扉が開かれた。

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