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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


本当は……どこかで分かってた。
分かってたけど、認めたくなくて、必死で目をそらしてたんだ……俺は。


震える声で懸命に言葉を紡ぐ。



「……今までタエとともに、大の国にいました。ずっと、私の身の回りの世話をしてくれていました」

「……」

「……とても。しっかりした男です」

「その者の名は……?」

「……カズナリ、です」



俺が答えると、陛下は口のなかで名前を呟かれたようだった。


言ってしまった……。


俺は自分に茫然としながら、唇をかんだ。

もう後にはひけない。
俺はミヤを置いてく選択肢をとってしまった。
彼は帰る気満々なのに、だ。

……だけど。当然だよね。
ミヤを連れて帰ることと、タエの結婚が同時に許されるなんて、そもそもがありえない。

さらにミヤは、俺のもとから離れたら、王族という立場になれる。


……どちらが賢明な選択かなんて、誰に聞いても同じ答えが帰ってくるだろう。


ミヤに……なんて言おう。


震える体を、自分でぎゅっと抱き締めて、思い悩む。
ところが、陛下は少し考えたのち、違うところをついてきた。


「だが……その女性はもともと町娘なのだろう?」


……え?


「……そうですが」

「身分が……ねぇ」


そういって、ため息混じりに天を仰ぐ陛下に、俺はこれ以上言ったらダメだと、思いながら……


「なんで……」


言葉がとまらなかった。


「……なぜ?身分が違うって……身分ってそんなに大事なのですか」

「……」

「お互いに思いあってるのに……!それだけじゃダメなんですか?」


いいながら、ボロボロと涙がでてきた。
自分とミヤの関係にも重なるように思えて、俺は昂る感情を押さえられなくなっていた。
俺らにずっとずっとのしかかってた問題を、こんなときにこんな風にいわれるなんて。


身分身分って……!
そんなに大事なのかよ……!
どいつもこいつも……!



「好きでもないやつと結婚させられるくらいなら……私なら王族の立場をすてる……!」

「……」

「なんで……?どうして駄目なんだよ……?!」


俯いて顔をおおい、俺は泣きじゃくりながら叫んだ。

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