
キラキラ
第33章 🌟🌟🌟🌟🌟
俺は大事な人間を手放さないといけないせいで、パニック状態にあったのだろう。
受け入れきれない現実と、自分の想いのバランスがとれない。
ボロボロと流れる涙は枯れることなく、静かな部屋に俺の嗚咽が響く。
どうして……という想いがとめられない。
俺からミヤを奪うくせに、そんなこと言うんじゃねぇよ!
声に出せない言葉を必死で飲み込んで。
泣き落としなんか一番カッコ悪くてやっちゃいけないってわかってるけど、もう崩壊した涙腺は止まらなかった。
どうして……どうして……!
しゃくりあげて泣き続ける俺に、誰かが近寄りかけて、足を止めた。
「おまえはいい、さがってなさい」
「ですが……」
「よいから」
ボソボソと交わされる言葉は、陛下の身の回りの世話をしてるものか、それとも部下か。
どうでもいい、と思いながら、俺は懸命に涙を拭いたが、あとからあとから溢れてくる。
俺がぐずぐず泣いてると、陛下は困ったような声になった。
「……サトコどの。すまなかった。タエも……そのカズナリというものも、あなたにとっては大事な人間なのだな」
俺は、こくこくと頷いた。
「確認だが……タクヤは……タエと愛し合ってるというのだな?」
俺は、またこくこくと頷いた。
「カズナリは……その二人の子供で、男で、この城に残るのだな?」
「…………はい」
俺は、ミヤに確認もしないまま。
こくりと頷いた。
「……ならば、結婚は認めよう」
俺は思わず顔をあげた。
陛下は優しい顔をして頷いた。
「ただ、現実として、私が認めても、身分の話は絶対につきまとう。……裏で囁かれる。それに彼女が立ち向かえるのなら」
俺は、タエとタクヤ様の顔を思い浮かべて、頷いた。
「……あのお二人なら大丈夫です」
「そうか」
また、陛下はゆっくりと頷いた。
「サトコどのに負けたよ。……近々、正式に発表しよう」
俺は、ぐしゃぐしゃの顔で……微笑んだ。
……笑えないかと思ったけど、笑えた。
「……ありがとうございました」
……ミヤ、ごめん。
愛してるよ……ずっと。
