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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


だけど、その計画はマリウスにとめられた。

暗いうちにでるのは女一人では危ないから、という理由だった。

まっ昼間の街中で、あんな一瞬で狙われた俺は、それもそうだ、と納得した。
暗闇で襲われたら、と思うと確かにゾッとする。


だから、明日明るくなってから、帰ることにした。
……それに、やはりきちんと挨拶してから旅立つのが筋だろうし。



だけど……


「…………」


俺は、ミヤの顔を思い浮かべる。


あの日。
俺が陛下に直談判した日。
……つまり、カエラと三人で出かけた日から、ミヤとは会ってない。

……というより、俺があえて避けた。


だって、どんな顔して会えばいい?


知らない間に、この国に残ることを俺に勝手に決められて、さぞや怒っているだろう。

……いや、悲しんでいるかもしれないな。
ひょっとしたら恨まれてるかもな。


くそっ……泣くとこじゃねーか……


俺は、じわりと滲んできた涙をぐいっと拭った。



幸い、ミヤはあの日を境に猛烈に忙しくなっているらしくて。

立場が確定したことにより、周りの扱いも変わったからだって、カエラが言ってた。
挨拶まわりから、儀式の準備から、やることや覚えることは盛りだくさん。

だから、俺と顔を合わす時間はないに等しいはずで。
それをいいことに、俺は、部屋から一歩も出なかった。
ミヤは、俺がとまってる部屋を知らないはずだし。


もちろん、これで最後かもしれないから。

ミヤの顔をみておきたい。
彼の柔らかな声を聞いておきたい。

その思いで、胸は張り裂けそうに痛い。

……でも、それ以上に、会うことによって、決断を後悔してしまうかもしれない自分が一番怖かった。

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