テキストサイズ

キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


なんで……?
どうしてミヤが……?


聞きたいことは胸のなかで渦巻いてるのに、それすら聞けない雰囲気を、ミヤの背中から感じる。

しんとした部屋のなか、テーブルにポットを置く音がコトンと響いた。


お互い無言のままだ。


何を言ったらいいか分からなくて。
というよりも、むしろ何を言っても言い訳になりそうで……俺は口をつぐんだ。


「…………」

「…………」



ミヤも何も言わない。


そのまましばらく続いた沈黙は、物心ついたころから一緒にいる俺たちには、初めてと言っていいくらい重いもので。


息をするのも苦しくなってきた頃、


「……説明してください」


ゆっくり振り向いたミヤが、ぽつりと口を開いた。


「母さんは、タクヤ様と結婚できることになった。同時に……いつのまにか俺は王子としてこの国に残ることになってる。俺が、大の国に帰ると言っても誰も取り合ってくれない」


「…………」


「全てあなたにお願いされた事だ、と、国王陛下がおっしゃってました」


「…………」


「……ご自分が何をしたか分かってるのですか」


低い静かな声。


俺にはわかる。
これは、ミヤはものすごく怒ってる。


でも……


「……これしかなかったんだ」


俺は、腹を決めて、俺の決断を伝えなくちゃいけない、と、思った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ