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キラキラ

第33章 🌟🌟🌟🌟🌟


「……どうして、これしかないなんて、あなたが勝手に決めるんですか」


苛立ちを押さえるように、ミヤが顔を歪める。
苦しさすらみえるその表情が辛い。


「私はあなたと帰ると言ったはず…」

「……俺だって最初はそのつもりだったよ」


俺はミヤの言葉を、無理矢理遮った。


「……でも、お前が残らないとタエが結婚できない」

「……そんなこと」

「俺には関係ないなんて、死んでもいうなよ?」


俺が、ぴしゃりと言い捨てると、ミヤは黙った。


「母親だろ。ずっと一人だった母親が愛する人と結婚すんだぞ?それも后になるんだぞ」

「…………」

「一人息子なら、できることしてやれよ。祝ってやれよ」

「…………」

「しかも、お前に父親ができるんだぞ」

「…………」

「……父親って知らないだろ?」

「サトコ様……」

「いいもんだぞ?男親も……たくさんたくさん話をしろよ」

「サトコ様」

「それで家族っていうのを感じて……」

「サト!」


強く遮る言葉と共に、俺はミヤの腕に抱き寄せられて。


「……ごめん……泣かないで」


耳元で囁かれて、俺は自分がボロボロと泣いてることに気がついた。

ミヤの手のひらが優しく、俺の髪を撫でる。


「……ぅっ……」


これまで我慢してた何かがプツンと切れた。
喉の奥からもれでる嗚咽が、とめられなくて。


滝のように涙がでてくる。
陛下の前でも泣いたけど。
あのときよりも頭が真っ白だ。




「……うぅ……ふぇ……」


ミヤが、ぎゅうっと俺を強く抱き締めた。


泣くのは卑怯だと思ってたのに。
こいつの前では絶対泣かないって決めてたのに。


「ミヤ……ぁぁ……」


俺は、ミヤの胸でわんわん泣いた。


「サト……」


号泣してる間中、ずっとずっと、ミヤは俺を抱き締めてくれていた。

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