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キラキラ

第34章 バースト9


「うちのサークル、キミには声かけてなかったんだね。こんなイケメンくん見落とすなんてねー」


モヤモヤしてる俺に、山下さんは、陽気に話してくれるが。


「あ……えっと」


どうしよう。俺はここの学生じゃないって言わなくちゃ。
どうやって言おう……、と逡巡していると、


「トモくん!」


そこへ、甲高い声が割って入った。


「あーミズキ。お疲れー」


山下さんの視線が、俺を飛び越え、後ろに注がれる。


「遅いからさー、迎えに行こうと思ってた」

「ごめぇん。店が大繁盛でーなかなかぬけらんなくてー」


鼻にかかった甘えた声をだす女の子の声がする。


彼女さんかな?


そう思って振り返ると、そこには見覚えのある紫の袴を身につけた女学生が立っていた。

翔の店にいた人なんだろう。

サラサラの黒のロングヘアーに黄色のリボンをつけて。
細くて小さくて、今時の化粧をした可愛らしい人だ。

上目使いで首を傾げる仕草なんか、自分が可愛いことを知ってるタイプだな。

でも、悪いけど、それと同じ仕草を、さっきかずがしてたけど、あいつの方が百倍可愛かったぞ……

ぼんやりとそんなことを思ってたら、その人の目が、俺を見て、すぅっと冷たくなった。


…………?


それは、なんだか悪意のある視線に感じて。

ドキリとする。

翔の店にいたとき……あのとき感じた、刺さるような不躾な視線を思い出した。

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