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キラキラ

第34章 バースト9

この暴走に、抗いきれなかったらどうなるか。

中途半端に目立ってしまっているこの状況で……。
助けてくれる翔もいなくて。


背筋が寒くなる。



……だめだ……!
こんなとこで跳べない!


俺は、必死で立ち上がり、ふらふらと出口に向かって歩き始めた。

せばまる視界に、目をすがめて、ギリっと奥歯を噛み締める。
同時に、意識を体内にもっていき、溢れ出したチカラを少しでも、と、押さえ込みにかかった。

あちこち人にぶつかりながら、人混みの中を進む。
すみませんとも言えず、俺は、白くかすみ始めた視界のなか必死で走った。


「……はぁ……っはぁ」


どうしよう。
気を抜いたらすぐにでも跳んでしまいそうだ。

こんなに焦った状態で、冷静にチカラを押さえ込むのは不可能だった。


どこか……人のいない場所……見えない場所……
トイレは近くにない。


どうしよう……


焦りすぎて、手が震える。

もはやチカラはぎりぎりの状態。
コップのふちに、表面張力でたまった水が、ほんの少しの刺激でこぼれてしまう、そんな感じだ。


もうだめだ……


目の前が白く染まりかける。
ここまで来たらもう止めれないのはわかっていた。

俺はせめて、暗い場所へ、と本能的に暗幕のはってる部屋に飛び込んだ。

最後に視界に入ったのは、入り口にいた見覚えのあるフランケンシュタイン。
そして大音量で流れてる洋画と、それをみている観客の後ろ頭。


……映画……?
あ、映画研究会か……?


そこまでだった。

俺は、暗がりのなか、おさえこんでいたチカラが体内で爆発したのを感じながら、息をとめた。

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