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キラキラ

第34章 バースト9



「なに、おまえしんどいの?」

「……いや?」

「なんか顔色悪いぞ」

「気のせいだろ。お前が気色悪いもの見せるからだよ」


俺は顔を背けて否定した。
突発的な瞬間移動ではあったものの、幸い動けなくなるほどではない。
この眩暈は、少し休めば治まるはずだった。

生田は、やっぱリアル?と言って、その生首を眺める。
すると、そこへポニーテールの女子と、ショートカットの女子がやってきた。
それぞれ、実行委員と、衣装担当の女子だ。



「ねぇ、ねぇ。松本。今日来てくれたってことは、考えてくれたんだよね?」

「……なにを?」

「またまた!仮装に決まってんじゃん!」

「……」


まだ、あきらめてなかったのか……。
無理だっていってんのに。


「悪いけど……」


再度断ろうと、しぶしぶ立ち上がりかけたとき、ふわっと視界が回転した。


あ、やば……っ


そのままふらついた俺の体を、


「おい」


と、力強い腕が支えた。

慌てて一緒に立ち上がった生田だ。


「なに、おまえ。やっぱ調子悪ぃんじゃん」

「いや…大丈夫」

「いーから座ってろよ」

「え、松本大丈夫?」


女子が、あわてて片付けてた椅子を持ってきてくれて、そこに座らされた。


「貧血かなんか?」

「……多分」


そういうことにしておこう。
俺は、吐息をつき、うつむいた。

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