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キラキラ

第35章 屋烏之愛


昼休みの終わりを告げる鐘がなった。

ざわついてる校舎全体が、休みから授業へ、と、雰囲気を変え、動き出す。


楽しい時間はあっという間だな。


俺も、空き缶を、持っていたビニールにほうりこんだ。

松本のグループのたまり場である裏庭は、日当たりが良すぎてこの時期少々暑いのが玉に傷だが、静かだしいい風は吹き抜けるし、非常に過ごしやすかった。

松本やほかの面々も、少し長い時間は、ここで過ごしてるようだ。
かくいう俺も、毎日この場所に顔を出す。

共に過ごす人たちもいいやつばかりで……最悪だったのは、初対面のカツアゲくらいだ。

それをいうと、悪かったってば……、と相葉と横山は笑う。


「……次、数学かぁ……だりぃなぁ」


松本は、あくびをしながら、やわらかな髪をかきあげた。
そういっておもむろにベンチに横になった。


「んだよ、サボんの?」


上田が苦笑して、カレーパンの袋をくしゃくしゃと丸めた。


「ん。ねみぃし。六限は出るわ」


そう言って目を閉じた。
そうしてすぐに、小さく寝息をたて始めた。


「自由だな」


ボソリという上田に、俺は笑って頷いた。



裏庭から、北校舎に入り、渡り廊下をつっきる。
二年生と三年生はこの先の中校舎。
一年生はもうひとつ先の南校舎だ。


「おまえは?次なんなの」

「……えっと、英語です」


上田と喋りながら歩いてると、目の前から見たことのある人物たちがこちらに歩いてきた。
遠目の印象は、小柄で柔らかな雰囲気をもつ男を真ん中に、優等生風な男が二人。


あ……


向こうも気づいたみたいだ。

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