テキストサイズ

キラキラ

第35章 屋烏之愛


大野さん……たちだ。


生徒に混じり、こちらに歩いてくる三人から、目が離せない。

あの日、俺を助けてくれた三人は、温かな優しさがあった。
普通の三年生の兄貴たちだった。
それからすると、今、目の前に近づいてきている人たちは、別人のように遠く感じる。

ものすごいオーラだった。
バックに誰もよせつけないみたいな、静かな青い焔がみえる気すらして。

三人とも、個人的にはそこまで怖い印象はなかったのに、こうやって改めて客観的に見ると、迫力がえげつない。

しかも近づくにつれて、その空気が濃くなってゆく。


独自の情報収集の結果、大野と一緒にいる二人は、大野グループのツートップだという。

柔らかな雰囲気にみえた大野は、うつむき加減にだるそうに歩いてる。
優等生然としているのは、その大野に何かを話しかけながらも、大きな瞳にすきのない櫻井と、鋭い瞳に仏頂面の菊池。


いつのまにか、渡り廊下にいるのは、俺たちだけ。


隣で上田が、少し身構えたのが分かった。


……そうか。
大野と松本は、仲が悪いって言ってたもんな……。
というか、大野たちはそうこだわってもなさそうだったけど……。


思ってる間に、三人とすれ違う。


まるで、俺と上田のことが目に入ってないかのようなその態度。


いや、ちょっと待って!


「あのっ……!」


俺は、慌てて思わず声をかけた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ