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キラキラ

第35章 屋烏之愛

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ヤンキーがいようが、グループ同士の仲が悪かろうが、世の学校と同じように、学校の行事はおとずれる。

夏休みを終えて一発目にある行事は……


「……めんどくせぇなあ……」


松本は、その話題をふった俺に、あからさまに不機嫌な顔をしてみせた。


「めんどくさいって……まさかサボるつもりですか?」


年に一度の体育大会。
男子校だから、つまらないかと思いきや、男子校だからこその盛り上がりをみせる、と、相葉が言ってた。
出席するかどうかで、体育の成績にも少なからず影響すると聞いていた俺は、苦笑いして松本を見た。
松本は、うーん……と、生返事をして頭をかく。


「……去年が去年だったからなぁ……」

「なんかあったんですか?」


呟いた松本に、何気なく聞いただけだが、松本は、はっとしたような顔になり、「いや……別に」と、言葉を濁した。


「……そうですか」


何かわからないその態度に、ちょっとモヤっとしてると、松本は、にっと笑って顔を近づけてきた。


「拗ねんなよ」

「拗ねてません」

「嘘つけ。口とがってるぞ」

「尖ってません」


たんたんと返してたら、突如、チュッと柔らかいものが当たった。

「!」

驚いて目を見開くと、松本がニヤッと笑ってた。


「いや、口。尖ってたから、誘ってんのかなって思って」

「……そんなわけないでしょ!」

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