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キラキラ

第35章 屋烏之愛


「あのさぁ……そういうのって二人きりのときだけにせぇへん?」


後ろから横山の声がして、かっと頬が赤くなるのが分かった。

そうだ、先輩らがいたんだ!

すると、松本はのんびりと応えた。


「いーじゃねぇか。カズは俺のものだって示してんだよ」

「示さへんでも、だーれも手ださへんって。誰が潤のものにちょっかいかけんのよ」

「いや、そんなのわからねぇし」

「そんなあほなことすんの那須くらい……」

「ヨコ!!」


珍しく相葉が怒鳴って、俺はびくりと体を震わす。
戸惑うように横山をみると、まずいこと言ったというような顔で、口を引き結び、肩をすくめてる。


「……」


答えを求めるように、松本に視線をやれば、松本は見たこともない怖い顔をしていた。


「……松本……さん?」


ちょっと遠慮がちに声をかける。
すると、松本は、はっというように我にかえり、ぎこちない笑みを浮かべてくれた。


「あの……?」

「なんでもねぇよ。気にすんな」


松本は、俺の頭に手をやり、くしゃり、と髪をかきまぜてくれた。
全然、なんでもなさそうだけど……それ以上聞くことは憚られた。

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