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キラキラ

第35章 屋烏之愛


体育大会は、最低二つの競技に参加しなくてはいけない。

学年競技プラス自分で選択した競技である。

俺は、そこまで鈍足でもないし、運動神経が極端に悪いわけではないが、スーパーヒーローになるほどのものはあいにく持ち合わせてなくて。

目立つことも好きじゃないし、よって、適当に借り物競争とか、障害物競争とかそのへんにゆるく参加しようと思っていた。

ところが。



「……なんで?」

「なんでって……二宮は小柄で細いだろ?」


唖然として理由をきく俺に、委員長は当然とばかりに言い切り、返す言葉を失う。


「……無理だろ」

「いやいや。これ満場一致だから」

「細いやつは他にもいんだろ」

「みんなお前より背が高い」


ああいえばこう言う。

俺は、あきれてため息をついた。

……こんなの、嫌がらせ以外の何者でもないじゃねぇか……。

今年の学年競技は騎馬戦。
これは、クラス対抗なのだが、俺は、なんと勝手に大将になっていた。

……もちろん、期待されて、の大将ではない。

あっというまにハチマキをとられて、みんなからの非難の目にさらされる…まぁ生け贄みたいなものなのだろう。


「マジかよ……」

浮いてる自覚はあったものの、ここまでやられるとは思ってなかった。


「個人競技は、希望通り借り人競争にしといたから」

「……人?物じゃなくて?」

「人。条件に合致する人をつれてくるんだって」

「あ……そ」


どうでもいい。

出席率なんてもう気にせずサボってやろうかと思ったら、それを見透かした委員長が、


「休むなよ?」

と、釘をさしてきた。


最悪だ。

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