
キラキラ
第35章 屋烏之愛
自分が大将をやるなんて、なんだか情けないやら恥ずかしいやらで、俺は、周りの人間には言えずにいた。
だから、体育大会の話はできるだけ避けてきたけど。
「騎馬戦か……去年は俺たち無敵だったんだぞ?」
「え、サボらないで参加したんですか?」
松本の言葉に、思わず驚いて体を乗り出してしまう。
松本は、失礼なやつだな、といって笑った。
だって……
「なんでか、俺らの馬の周りには誰も近寄ってこないうえに、手を出してこねぇから、取り放題でさ」
「……メンバーは?」
「俺と上田と相葉と流星」
俺はその絵面を想像して、思わずプッと吹き出してしまった。
無敵じゃん。
そりゃ、おそろしくて誰も近づけないよ。
「そうでしょうね(笑)」
俺がくすくす笑うと、松本も、だろ?と笑い、持ってたシェイクをちゅっと吸った。
下校途中に立ち寄った、マクドは学生だらけ。
店内は、適度に騒がしくて、なんだか浮かれてる。
俺はポテトをかじりながら、頬杖をついた。
「二年生って何やるんですか」
「……棒倒し」
「……え。あの蜘蛛の糸のようにひとつの場所に人が群がる……」
「血をみるぜ、きっと」
松本が、へっと肩をすくめた。
