
キラキラ
第37章 寵愛一身
息つく間もなく求められるというのは、こういうことをいうのか。
「……はぁ……ちょっ……ん」
がっしり抱きしめられた腕のなかで、俺は、翻弄されるがままに松本と口づけを交わす。
思えば、松本とここまで深いキスは、あの体育大会の日以来したことがなかった。
時々、フレンチキス程度ものを、別れ際にされるくらいだ。
それも俺が恥ずかしがるから、ほんとに一瞬。
経験のない俺には、それだけでも大変なことなのに……今仕掛けられてるのは、マジのマジでヤバいやつだ。
「んっ……はあ」
俺が、酸素を求めるように口を開けたら、ねらいすましたようにさらに口づけは深くなった。
どうしよ……
学校なのに。
放課後とはいえ、誰が自販機にジュースを買いに来るかわからないのに。
脳がしびれる。
四肢に力が入らなくなってくる。
何も考えられなくなってきたのに比例して、どんどん体が熱くなってきたのがわかった。
松本は何度も角度をかえて、俺の口内を舐めまわしてきた。
俺が怖がらないようにか、ゆっくりと慈しむように。でも、それでいて時々激しく。
唾液があふれてこようが、おかまいなしのそれは、しんとした空間にピチャッという恥ずかしい水音を響かせる。
