テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身


促されるままに、次の駅で二人で電車を降りた。

誰も学生がおりない駅に、俺らがおりたことで、さぼりか?と、車内から好奇の目でみられてることを感じ、居心地が悪かった。

なのに准一は嬉しそうに伸びをして、さぁ~遊ぼう、とつぶやく。


バカか、こいつは。


俺は、あきれてため息をついた。
サボるなんてはじめてだ。
松本ともしたことなんてないのに。


俺が学校に来なかったら、松本は心配するだろうな。

一応連絡しとこうかな……。


スマホを取り出しかけたら、准一が制止した。


「連絡禁止」


…………まぁ、そうか。
想定内だ。


半袖からみえる太い腕をみて、俺は、あきらめた。


「どこいこうか」

「……どこでもいいです」


制服姿で繁華街をうろつくには、さすがにリスキーだと考えたらしい准一は、ここで涼もうぜ、と、駅前のファミレスに俺を連れて入ろうとした。

俺は慌てた。


「無理。お金なんかほとんど持ち歩いてないよ」


すると、准一は、


「いいから。奢ってやる」


と尻ポケットに入ってるらしき財布をポンポンと叩き、俺を強引に店内に連れ込んだ。

なんでも頼んでいいといわれたから、俺は、やけくそで、大きなチョコレートパフェをオーダーした。


「えらく、可愛らしいの頼むんだな」


准一が、なんの曇りもない笑顔で俺の顔をみつめる。

これがもし恋人同士なら百点満点の顔なのだろうが、俺にとっては恐怖でしかない。
松本を人質にとられてるんだ。
噛みつくのもためらわれた。


「……食いたかったから」


仏頂面でかえす。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ