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キラキラ

第37章 寵愛一身


「甘いのが好きなのか」

「……まあ」


面白そうにからかう准一は、アイスコーヒーをたのんでいた。

なんだかオーダーがカップルみたいで、嫌だなと思う。


やっぱ、やめときゃよかったかなぁ……


やがて、運ばれてきたチョコレートパフェに俺は、今度こそ後悔した。
それは高さも量もそこそこあり、けっこうなボリューム。

普段そんなに食べない俺は、早々に食べあぐねることになる。

しなしなのウェハースを手に、じっと黙ってると、


「……もう腹一杯なんだろ」


准一はおかしそうに笑って、俺のスプーンに手を伸ばした。

え?と、戸惑っていると、准一は躊躇もせず俺の食べさしのパフェをパクパク食べ始めた。

すごい勢いでなくなっていくバニラアイスの山。

唖然としてる俺の目の前で、しまいには下の方にたまっていたフレークまでザクザクし始め、准一は、またたくまにペロリときれいに平らげた。


「……あっま」


最後に眉をしかめて、自分のブラックコーヒーを飲む准一は、ほんとは甘いものが得意ではなかったことを物語ってる。

だされた食べ物を残すものではない、と幼い頃から親に言われてる俺には不本意だが、結果的に手伝ってもらったことになる。

俺は、手にしてたウェハースをかじりながら、


「……どうも」


と、呟いた。

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