
キラキラ
第37章 寵愛一身
なんとかこの話題をかえたい。
俺は、腕時計に目を落とし、一番気になってたことをたずねた。
「あの……このままずっとここにいるつもりですか」
「ラブホにでもいくか?」
「っ……ふざけないでください!」
ばんっと思わず机をたたく。
瞬間、周りの客がいっせいにこっちを見た気がして、口をつぐんだ。
俺らは制服だ。
こんな時間に男子学生がいちゃいけない。
ほんとうは。
俺は、唇をかんでソファに座り直す。
「……静かにしねーと目立つぜ?」
余裕の態度で窘められて、なんだか悔しい。
「どっか行きたいとこでも?」
「……学校」
正直に答えたら、はっと笑われた。
「……松本んとこに帰りたいか」
「……帰りたい」
ぽつりと返す。
「でも、悔しいけどあんたと喧嘩しても、松本さんは負けるから。……あんたに帰っていいよと言われないと俺は、ここから動けないでしょ?」
「まぁ、そうだな」
准一は他人事のように頷いた。
