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キラキラ

第37章 寵愛一身


「俺がなんでお前を連れ出したかわかるか」

「……俺を好きだから」

「そうだ」


准一は言って、くんでた腕をとき、机に頬杖をついた。
その、なんか文句あるかとでもいうような、自信満々な態度に、言い知れぬ不安を感じる。


「でも……俺は、つきあってる人が……」

「だから?」

「……だからって」

「俺の方がいい男だってわかったら、別れる可能性もあるだろ?」

「ないです」

「いいや。ある」


…………


こんなに意志疎通が難しい相手は初めてだ。
その自信はどこからくるのかききたい。

俺は、深いため息をついてソファに背をあずけた。
昼までに帰れるかいよいよわからなくなってきた。


どうしよう……


泣きたくなってきた。

准一は、平然とアイスコーヒーをじゅるじゅるすすり、腕時計をみた。


「昼にはまだ時間あるな。公園でもいくか」

ゲーセンとかは、捕まったら面倒だしな……、言いながらレシートを片手でとりあげ、准一は席をたった。

ブランコで恋人ごっことかさせられたらどうしよう、と思いながら、俺も黙って立ち上がった。

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