テキストサイズ

キラキラ

第37章 寵愛一身


この近くの高台に、景色のいい公園があるという。
そこで、散歩でもしようぜという准一のあとを、しぶしぶついて歩く。


……なんかされたらどうしよう


なんとしても貞操は守らなきゃ、と、覚悟をしながら歩いてると、


「……あれ」


小さな呟きを耳が拾った。
それが自分に向けられたものかどうかも、わからないまま、


「二宮くん?」


続いた自分の名前に、ハッとうつむいてた顔をあげた。

その、柔らかな声にも、すれ違ったときの香りにも……覚えがあった。
思わずふりむいて、その主を探す。

すると、目を丸くした光一さんが俺を凝視していた。

こないだは黒のテカテカのホストみたいなシャツを着ていたけど、今日は、黒と金のピカピカのチンピラみたいなシャツだ。

……なんというか……綺麗な顔をしてるぶん、いかつさが半端ない。


「……自分、学校は?」


光一さんに不思議そうにきかれる。


……そうだよね。そうなるよね。


「えっと……」


なんて答えようか、思わず口ごもると、准一が無言で俺の腕を引っ張った。


「……行くぞ」

「おおおい。ちょい待てや」


すかさず俺の反対側の手を、光一さんがつかんだ。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ