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キラキラ

第37章 寵愛一身


「今、話中や。みたら分かるやろが」


怒気をはらんだ声で、光一さんも俺を引っ張る。
その細身な体からは想像できないような力強さ。

両方からすごい力で引っ張られて、俺は、顔を歪めた。


「いった……!」

「……離せよ。こいつ痛がってるだろ」

「おまえが離せゆーとんねん」


……ちょっと……!


このままだと、腕なくなっちゃう!


「痛い……!離して!」


痛がる俺の声に、微妙に二人の力の緩んだ隙をついて、渾身の力で、手を振りほどいた。
瞬間、タッチの差で、光一さんに再度引っ張られる。


「わ」


光一さんの腕の中に転がり込んだ俺は、すかさず背中の後ろにかくされた。
俺の盾のようになった光一さんは、准一に真っ向から凄んだ。


「学校は大事やぞ?こんなとこウロウロする暇あったら、いまからでも行けや……なぁ?」

「……うるせぇな、どけよオッサン」

「オッサン、馬鹿にすんなよ?ガキが」

「二宮?松本どうなってもいいんだな?」


俺を呼び戻すための脅しだったのだろう、准一の言葉に、光一さんの方が反応した。


「……なんやと?」


纏う雰囲気が一変する。

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