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キラキラ

第37章 寵愛一身


ぼけっと突っ立ってる俺の頭を、光一さんはポンポンと撫でた。


「……驚かしたかな。すまん」

「……いえ……こちらこそ助けてくださってありがとうございました」


俺は、ペコリとお辞儀をした。


「なんや、あいつにつきまとわれとんか」

「なんか……はい。俺を好きなんだそうです」

「なんで潤が関係あんの?」

「俺があの人とつきあわないと、潤くんの腕を折る……って」

「……なんでや」

「それは……その……潤くんが俺の恋……人……だから」

「……むちゃくちゃやな」


光一さんはあきれたように呟いて、うつむく俺の頭をよしよしと撫でてくれる。
耳が熱い。



「まぁ、もう大丈夫やろ。あれだけ脅しといたら」


光一さんの言葉に俺は、そうだ、と顔をあげた。

この人、こんな綺麗な顔して、こんな細い体で、総長だって??


「……光一さん……ヤンチャだったんですね」

「まぁな。バイク好きやったし。てか、俺をみとるから、潤もあんな風になったけど、あいつは、根が真面目だからワルにはなりきれてへんのよな」


そこが可愛いんだけどな、と、細められる目は、優しくて。
さっき凄みをきかせてた人とほんとに同一人物なのかな、なんて思ってしまう。

学校まで送ったるわ、と光一さんについて歩きながら、俺は、腕時計を見た。
四時間目が始まったところだ。


「夜、来んねやろ?待ってるからな」

「はい……ありがとうございます」



ギリギリで、昼休みに間に合いそうでホッとした。

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