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キラキラ

第37章 寵愛一身



職員室で、学年主任の教師をつかまえ、急な体調不良で遅れた、と、嘘の遅刻の説明をする。

普段あまり目立たない俺は、特別疑われることもなく、むしろこのまま欠席しなくてもよいのか、と心配までされてしまった。


さてと……


自分の教室に向かいながら首を捻る。
あと少しで授業が終わり昼休みだ。


……四時間目はもう捨てよう


俺は考え直し、いつもの場所でみんなを待つことにした。

それにしても、大きなチョコレートパフェのせいで、まだお腹がいっぱいだった。


お弁当……食べれるかな……


考えながら、溜まり場に足を踏み入れ、ドキリと動きを止めた。

ベンチに横になってるのは……まぎれもなく松本。
組んだ両手を頭の後ろに、すやすやと昼寝真っ最中だ。

……授業さぼったの??


俺は、フラフラと近寄り、ぺたりとそばに座り込んだ。
端正な横顔は、相変わらず作り物のように美しい。
何故だか震える指で、彼の頬にそっと触れる。


「…………」


朝から、俺のキャパを越えるいろんな事件がおきた。


……とにかく、怖かった。


「……会いたかったです」


ぽつんと呟く。

松本のそばにいたくて、肩を抱かれたくて……笑顔がみたかった。

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