
キラキラ
第37章 寵愛一身
「いらっしゃい」
黒のエプロンをした光一さんが、笑顔で出迎えてくれた。
キッチンの方角から肉の焼けるいい香りがする。
「お邪魔します」
家に入る松本に続いて玄関に入りながら、ペコリと礼をしたら、光一さんは、俺に、
「おう、二宮くん。久しぶり」
と言った。
その言葉だけでわかった。
光一さんは、午前中の准一との出来事を知らないことにしてくれようとしてる。
顔をあげると、バチッと目があう。
その瞳は、分かってる、と、いうように少し細められた。
俺も小さく頷いた。
「光一~今夜何にしたの?めちゃめちゃいい匂い」
何も知らない松本が、鼻をくんくんさせてる。
「今、スペアリブ焼いとるとこや。もーすぐ焼けるわ。二宮くん肉好きか」
「はい。大好きです」
「良かった。たくさん食べて力つけや」
「……はい」
にっと笑う光一さんに、俺は、苦笑いして頷いた。
