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キラキラ

第37章 寵愛一身


大きなテーブルに、所狭しと並べられたご馳走。

あの、いびつなおにぎりを作った人の料理とは思えないほど、品数も盛り付けもすばらしい。


「昨日から仕込んどったからな」


ピーピーとなってるオーブンから、スペアリブを取り出し、大皿に並べながら、光一さんは微笑む。


「すごいです……」


あれ?でも……


テーブルに並ぶランチョンマットは2つ。
カトラリーも二組ずつしかない。

松本も同じことを思ったのか、プチトマトをつまみ食いしながら、光一さんを振り返った。

「光一は?食わないの」

すると、光一さんは、エプロンをはずして、リビングの時計に目をやった。


「いや、それがさ、今夜の新幹線で帰らなあかんくなってん」

「……え?」

「もう出な間に合わへんわ。悪いけど二人で食べてくれるか。片付けは、恭子さん明日来てくれるから、シンクに重ねといて」



恭子さんて?と目で松本にたずねたら、この家に出入りするお手伝いさん、だそうだ。


……そんな


光一さんにいろいろ松本の話聞きたかったのに。

松本も、そっか……と、残念そうだ。

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