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キラキラ

第37章 寵愛一身



お腹いっぱいご馳走を堪能した。

食べながら、松本に、光一さんとの話をたくさんしてもらった。
彼の昔のヤンチャぶりや武勇伝には、お腹を抱えて笑ったし、松本とのエピソードは、興味深くて
かぶりつくように聞いた。

ほんとに二人は仲がよいんだな、と感じる。

俺には男兄弟はいないし、親戚も女ばかりだから、なんだかうらやましいな、と思った。

そして、松本のこの仲間思いなところは、光一さん譲りなんだなって思った。


「素敵ですね。光一さんて」

「……あいつには、頭あがらねーな……俺は」

「ふふ」



話が一区切りついたところで、松本が皿を重ねながら、冷蔵庫を振り返る。


「……光一が、デザートにってケーキがあるって言ってたけど。食える?」

「え……今ですか?」

「今、この流れで食わないと、食えねーぞ(笑)」

「……そうですね」


もう胃のなかに一ミリも入る余地はない気がしたけど、帰宅時間もあるし、俺もテーブルの上を片付け始めた。


光一さんは、シフォンケーキを焼いてくれていて。生クリームをのせたそれは、どこかのカフェにあるかのような完成度だ。

アイスティーをグラスに注ぎ、それらを持って、真っ白な皮のソファに並んで座った。


「テレビでもつけるか」


松本が、ケーキを咀嚼しながら、何気なく大きなテレビの電源をいれる。

画面に大きくうつされたのは、


「!!」

「……げほっ……!」


……現在放映中のドラマでの濃厚なラブシーンだった。

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