
キラキラ
第37章 寵愛一身
ドキリとする。
松本も驚いた拍子に、思わずテレビの電源を切ってしまったようで、唐突に部屋がしんとなった。
「……あ……ごめん……」
「いえ……」
松本は、勢いでテーブルに転がったフォークをぎくしゃくと拾い、カツンと皿に戻した。
「…………」
「…………」
互いの心臓の音が聞こえそうなほどの一瞬の静寂。
先に動いたのは松本だった。
「…………」
やや乱暴に抱き寄せられた。
俺は、松本の胸に頬をおしつけてうつむく。
心臓が破裂しそうだ。
「ごめん……節操なくて。嫌なら言ってくれ……」
掠れるような声。
こんな自信のなさそうな声聞いたことない。
でも、俺は、ドキドキしてたけど、妙に落ち着いてた。
なんだろう。
この人に抱き締められると安心する。
もっともっと温もりがほしくなる。
だから俺は、正直に言った。
「嫌じゃ……ないです」
「……キスしたい。いいか?」
「………………俺もです」
返事を聞くや否や、松本が熱い唇を押しつけてきた。
