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キラキラ

第38章 バースト11

一方で、見よう見まねで投げた潤のダーツは、吸い込まれるように、ボード中央付近にささった。

「おしっ」

「……うまいな、お前」

「まぐれだよ」


潤は、ニコニコして、ニ本目のダーツを手に取る。
それからも初心者とは思えない感の良さで、時にブルを積み上げてゆく潤。

ところが、俺のスコアはぼろぼろ。
このダーツってやつは、集中力がものをいうが、センスもいる競技だな、と改めて思う。
前回大学の連中と行ったときは、お遊びだったから、それほど点数とか気にしてなかったけど。

いざ、きちんとやるとなかなか奥深い。


……こいつに、スポーツで勝てる気がしない。
俺にあるのは頭脳だけか……


若干拗ねたくなる気持ちを押さえながら、ダーツをいじってる俺に、潤は言う。


「でもさ、翔ってやろうと思えばズルもできちゃうのに、そうしないよね」

「……ズル?」

「ほら。チカラでさ。ちょいと動かせば、点数稼ぎなんていくらでもできるでしょ」


ああ……ズルってそういうことか。

俺は、あきれて吐き捨てる。


「……アホか。そんなんしたって、むなしいだけだろ」

「うん、わかってる。でも、俺の前でカッコつけようとしないところが、翔だなって」

いって、投げた潤のダーツは、ど真ん中に刺さった。

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