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キラキラ

第38章 バースト11


ガヤガヤした館内を早足で歩き回り、くまなく目を光らせたが、怪しそうなやつは見つけられなかった。

ダーツの速さは、そこそこあったから、至近距離で投げられたものと見越し、すぐにとっつかまえることを想像していたけど、逃げ足が早いのか、人混みに紛れるのが上手なのか。


…………くそっ


狙いは潤か?

だが、あいつに嫌がらせをするにしても、あいつから最近は誰かともめた話なんかはきかない。
もちろん俺にも心当たりなんかない。

ボーリング場でどこからか感じた、あの不躾な視線と結びつけてよいものか。


考えながら、潤のもとに戻ると、潤は不安そうな顔で、おとなしく座って待っていた。


「……これを、誰かが投げてきたの?」


潤が手にしてるダーツを俺に見せる。

よくよくみたら、尖端が金属だ。


「……わりと悪質だね」

「……だな」


手にとると重量が違う。
色や形は、今遊んでるダーツとよく似ているが、
コンピューターを搭載してるボードには投げられないタイプのものだ。


「……警察にいう?」

「言いたいが……これだけじゃ取り合ってもらえないだろ」

「……だよね」


俺は、忌々しい思いでダーツを捨てかけたが、証拠になると考え直し、ハンカチにくるんでボディバッグにいれた。

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