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キラキラ

第38章 バースト11


俺の手元をじっとみていた潤が、ぽつりと言った。

「……歌ってくれんの?」

「お前が歌うんだよ」

「……翔の歌がいい」

「やだね」


いいながら、曲名を流し読みしていくが、近頃の曲は全くわからない。
思えば、学校サボって遊んでたというが、潤はこういうところにも出入りしてたのだろうか。


「おまえ、十八番とかあるのか?」

「翔の歌がいい」

「……しつけーな(笑)」


少し笑って答えてやると、硬かった潤の表情がようやく和らいだ。

俺は内心ほっとして、潤の手を握った。
潤が、俺の顔を見た。
俺が、ふっと笑ってやると潤は安心するように、頷く。

握った手は、驚くほど冷たくて。
さきほどの緊張をまだひきずってるのを物語っていた。


「……大丈夫か」

「……さっきのやつ。考えれば考えるほど、ちょっと怖くなってきた……」

「……まぁな」

「だってさ、あんなん刺さってたら、めちゃめちゃ痛いじゃん」

「ああ。……ただ、狙われたのは俺かもしれないし」

「そんなん………もっとやだよ」


潤は、口を尖らせて俺の手をぎゅっと握り返してきた。

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