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キラキラ

第38章 バースト11


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翌朝の都心は、うっすらと雪化粧していて、カーテンをあけた俺の気分をさげるにはじゅうぶんだった。

雪は、夜中から少しずつちらついていたようだが、量事態はそれほどでもなく、積もってるのかどうなのかはっきりしろってくらいのレベル。

……それでも足元は最悪だ。

お気に入りのスニーカーは履くのはやめておこう、と心に決め、コーヒーをたててると、智兄が、よろよろと起きてきた。


「おはよ。智兄」

「おう……」


この人は朝はいつもゾンビのよう。

目、あいてんのかな、と、くすっと笑ってると、窓の外に目を向けた智兄は、


「うわぁ……まじか」


と、嫌そうな声をあげた。


「……電車は動いてるのか?」


テレビのリモコンを手に、まいったなー……と、腹をポリポリかいてる智兄に、俺は、うん、と頷く。


「交通機関は問題ないよ。道路も路肩だけっぽい」

「……そんならいいけど……めんどくせーなぁ」


智兄は、仕事始め。
俺は、大学。


二人とも、『雪が降りました。じゃあ、お休みします』という、立場でもない。

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