
キラキラ
第38章 バースト11
「かずは?」
「あいつは、まだ冬休み……って、ちょっと、智兄、ちゃんと食べなきゃダメだろ」
スツールに腰かけた智兄が、マグカップにしか口をつけないのを見て、俺はパンの皿を無理矢理押しやった。
「え……いいや。コーヒーだけで」
「ダメだよ。そういうと思って、これ、昨日帰りにわざわざ買ってきたんだよ」
「…………なに、これ」
「胚芽パン。さっき、クリームチーズ塗ったから食べやすいはず」
はい、と無理矢理片手に持たせると、智兄は、しばらくそれを眺めたあと、もそっと一口かじった。
「……お。うまい」
「でしょ?クルミパン売り切れてたからどうしようかと思ったけど、これならいけるでしょ」
甘いパンは苦手な智兄は、好みがうるさくて。
いつも行ってるパン屋のクルミパン以外、あまり口にしない。
もともと食が細い人だし、朝飯なんて食べなくても平気とか言ってるけど、俺にしたら1日外で働いてくるんだから、エネルギーはとっておきなよ、と心配してしまうのだ。
